目標設定は目的を切り出す名人芸
本章では目的の下部構造である目標を主題に話を進める。目的の理解が無いと正しく読み進めることは困難ゆえ、先に前2章の要約を読んで頂けると理解がスムーズになると思う。
目標設定の基本
前の2章で目的の重要性を語ってきた。一方で実際の仕事に取り掛かるに際し「目的」は少し抽象度が高いと言える。具体性が無ければ実際に動き出すことはできない。3層ピラミッド構造に基けば、目的を達成するための目標が必要になる。目標は目的と手段を繋ぐ中継点であり、目的に手触りを与えてくれる。
目的を到達点とすると、目標は中継地点(マイルストーン)である。裏を返せば、目標は常に目的のためにある。目的なき目標には意味がなく、それに向かっていても「何のためにやっているのか」といつか虚しさを覚えてしまう。つまり適切な目標設定はチームの士気の維持にも重要だと言えるのだ。
適切な目標は組織に4つの効果を与える。①抽象度の高い目的を実務に落とし込める、②目標達成に向けて抜け漏れなく必要十分な手段を取れる、③ヒト・モノ・カネの選択と集中が行える、④達成感が得られる。
目標は目的を因数分解し具体化したものであるため「目標の達成」は「目的の切り分け」に他ならない。切り分けの方法は次の2つだ。①構成要素への切り分け、②時間軸での切り分け。①は高校時代の数学の授業が例として分かりやすい。「三角関数」「微分積分」などと分かれていたはずだ。それぞれ理解度を進めていけば大学受験レベルまで数学力を持ち上げられるということだ。
②は「いつまでに」という観点だ。大学受験などでは「3年生の冬までに」という期限を設けて①の達成に向かっていたはずだ。期限のない目標は緊急度を決められないのに留まらず、目標そのものが無くなってしまうことになりかねない。このように「要素ごとどのような状態」を「いつまでに」実現するかを切り出すのが目標設定の基本である。
なお目標の中にも大目標や小目標が存在する。切り出した目標が大きすぎ手触りが感じられなければ、さらに水準と期間を細かく切り出した小目標を設定すべきである。小目標をどのレベルまで設けるかはリーダーとチームの話し合いの中で決まっていく。
目標設定の実践ステップ
STEP1 目的を「構成要素」に分解する
まずは目的の構成要素を分解し、目的達成の必要条件を切り出そう。目的に対し「どのように達成するか」を問い、より具体的な構成要素を分解していく。目標は目的を起点に分解したピラミッドの中段である。故に、目的と目標は一貫して繋がっている必要がある。
またKPIの設計は通常この目的のブレークダウンを利用して行われる。「貴方の仕事のKPIは何ですか」と問われたら目的を分解したもの(=目標)を提示すれば良い。
STEP2 抽出した構成要素に目標水準と期限を与える
目的を分解したら、次は各要素における達成水準を決める。この際次の2つの観点から決めると良い。①目標の高さ、②目標の期限。例えば「1年間で10%の売上向上」というのは2点を満たした目標だ。
では、この「1年間」や「10%」などの数値はどう決めれば良いか。最も重要な指標は「こうなって欲しい」というリーダーの意志と「こうなりたい」というメンバーの意欲をすり合わせることだ。目標は押し付けすぎても任せすぎてもならない。
リーダーは設定した目標が組織にとってどれくらいの強度なのかを把握しておく必要がある。目標はコンフォートゾーンに留まるような低水準でも、チームを混乱させるような高水準であってもならない。チームメンバーの成長が必要だが達成不可能ではないゾーンを狙うべきである。
STEP3 SMARTの観点で目標を確認する
諸氏は目標の重要性について納得したと思う。目的に対して適切な目標が立てられていなかった際のリスクを考えれば、目標を精査することは無駄ではない。このとき目標の妥当性を確認する5つの指標がある。
①Specific;具体的であるか
②Measurable;測定可能か
③Achievable;達成可能か
④Relevant;目的と整合しているか
⑤Time-bound;期限が明確か
それぞれのイニシャルを取ってSMART原則と言われる。①は目標が具体的なアクションを与えうるか。②は目標の達成度を基準に基づいて測定できるか。これは定性的であっても良い。③は上に記した通り。④もこれまで解説してきた。⑤は期限を明確に設けリソースやチームにメリハリを設けるということだ。
次回予告
さて我々は目的を設定し、それを目標として切り出すノウハウを得た。3層ピラミッド構造で考えれば、目的に対し「どうやって?」の問いを立てたのが目標だ。目標にさらに同じ問いを投げかけると手段になる。次は具体的な手段について考えることとしよう。
【参考図書】
戦略コンサルタントが大事にしている 目的ドリブンの思考法
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