目的は思考の起点である
成果の創出=目的の達成
温故知新という諺が表すように、昔は過去の出来事から将来を考えるバックミラー思考は有効であった。しかし近年はまさにVUCA時代というに相応しく、過去を顧みても将来へのヒントはないことが多くなってきた。
近代に於いて必要なのは「バックキャスト思考」である。この思考法は望む未来を先に描き、未来軸で現在必要な行動を割り出すというものだ。バックミラー思考が帰納ならば、バックキャスト思考は逆算の思考だと言えよう。
筆者の主張する「目的の重要性」は実にここである。未来起点で思考する場合の目的とは、未来像そのものである。目的を明確に定め、そこまでの経路を逆算する。現代に於いて叶えたい未来はガムシャラに努力すればやってくるものではなく、計画的に創り上げるものであるのだ。
目的とは「何のために?」への答えだ。目的の意味が定まれば「仕事で成果を出すとはどういうことか?」「どうすれば成果が認められるか?」は決まる。即ち「成果の創出=目的の達成」である。ここで「業務の完了≠目的の達成」であることに注意したい。仕事が終わったかではなく、目的に寄与したかどうかに意識を向ける必要がある。
目的が明確でなければ成果の創出も叶わない。4つの弊害が生まれるからだ。目的が不明確であれば①取り組むべき課題が分からない、②打ち手の優先順位が判断できない、③行動が的外れになってしまう。目的が自分の言葉で語れなくては説得力に欠け④上司も部下も動かない状態になってしまう。
目的は組織を動かす原動力でもある。上下関係や経験・知識を用いた権力で真にフォローワーが動機づけされることは無い。組織の原動力の源泉は「リーダー自身の権力」から「リーダーの掲げる目的」へとシフトしていく。目的が共感を呼び、フォローワーの意欲を駆り立てる。旗印である”目的”が組織にとって強力な”Why”であるほど、リーダーは強いリーダーシップを発揮できる。
2つ上の段落で述べた4つの弊害は、目的を意識することで4つの武器へと変化する。目的が明確であれば①現状と目的のギャップが把握でき課題が見つかり、②判断軸が決まり優先順位が即決、③目的に直結しない無駄な行動が次々に省かれ、④リーダーのワンオペ状態から協力状態へと変化する。つまり、目的は組織の成果創出力を高める究極のレバレッジ・ポイントである。
例として新規事業をチームで考えている状況を想定する。容易に想像できるのは、個性的かつ魅力的なアイデアが多く生まれる一方で、決定段階で絞りきれないという状態だ。これが”目的”を見失っている状態である。この新規事業を「何のために(Why)」行うのか。目的地が分からない状態で移動手段を決められないのと同様に、目的が分からずに腹落ちする意思決定を行うことは不可能である。
目的-目標-手段
次に、目的を達成する“実行”の仕組みを理解したい。その仕組みが「目的-目標-手段の3層ピラミッド」である(下図)。達成すべき目的が頂点、目的達成に必要な目標が中段、目標達成に必要な手段が基盤になるという構造だ。重要なのは、各段が上から下へ「どのように」、下から上へ「何のために」という関係で3層が繋がっていることだ。

なおピラミッド構造が表す通り、一般に下段へ行くほど要素は多くなるはずだ。またこのピラミッド構造は仕事だけでなくボディメイクなどの日常でも応用できるため、ケーススタディの場は多くある。
3層ピラミッド構造で重要なのは、この「目的-目標-手段」が澱みなくリンクしていることだ。具体的には「どのように?」「何のために?」という問いに瞬間的に回答できる状態に自分自身をしておく、ということだ。忙殺され手段のみに目がいっている状態では高い価値提供は期待できない。
目的から逆算するという点に於いて、この3層ピラミッド構造と先のバックキャスト思考は同じ考え方だと言える。目的は思考の起点なのだ。大仰なことに考えられがちだが、目的思考はメール1本送る時にも使える。目的-目標-手段は位置関係であるため、すべての行動に目的や手段を考えることが可能である。
まとめを行う。
目的が明確であればあらゆる場面に於いて「選択と集中」を行える。目的に対応した課題を見つけ、優先順位をつけ、最小の労力で最大の成果が挙げられる。そのためにはプロジェクトの初めに目的を共有し、3層ピラミッド構造を創れば良い。
【参考図書】
戦略コンサルタントが大事にしている 目的ドリブンの思考法
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