知識を持って思考するために
戦後ずっと続いてきた憲法改正の議論が近年加熱しています。私自身の信条や政治信念を公表することはありませんが、正しい基本知識を持っていれば議論も投票ももっと有意義なものになると考え、今回このような枠を取りました。
ここに書いたのは私が議論の核であると考えた数点であるので、より知識を深めたい方は他のサイトや書物を参考にされてください。
憲法改正=9条改正では無い
憲法改正を呼びかける政治家は多いですが、実は全員が9条改正を主張している訳ではありません。
戦後80年近く手が加えられずに来た憲法には軍事面以外にも様々な歪みが生じています。代表的なものが憲法7条、天皇の国事行為です。現憲法では閣議決定された膨大な量の政令をひとつひとつ天皇に上奏する必要があります。法律や条例は国会で議決するため上奏することは(形式上)理解できますが、閣議決定された政令は総理大臣が公布すれば良いでしょう。
この他にも「変えた方が良いが手を付けられていない憲法」というのは複数存在します。憲法改正を主張する政治家がどこまでをスコープに入れているかは必ずチェックすべきです。
自民党に投票しても憲法改正はしない
自由民主党の最大の目的は憲法改正です。故に改憲派は自民党に投票することが多いですが、現在の自民党では憲法改正を行えません。それは支持母体に創価学会があるためです。
自民党は公明党と組み、選挙協力で多くの票数を受けています。特に人口の少ない地方選挙区、地方議員選挙で自民党が強い1つの理由は創価学会の存在です。
創価学会は世界の宥和を主張し中国との関係も強い新興宗教団体で、そのため憲法改正にも否定的です。自民党が創価学会との関係を切れない限り、自民党政権において憲法改正が実際に行われることは無いと考えて良いでしょう。
改憲のメリット
現在の自衛隊は軍隊でない
自衛隊員は軍人でなく一般人です。これは、彼らが首相からの攻撃許可なく防衛力を出動した場合、軍事裁判でなく一般的な裁判で殺人罪が問われることを意味します。
総理大臣の防衛出動命令が無ければ攻撃はできません。映画『シン・ゴジラ』にはゴジラに対する自衛隊の攻撃までの流れが象徴的に描かれていますが、まさにああいった周りくどい許可を得なければなりません。
シビリアン・コントロールの最大の利点にして最大の難点は文民が軍人を収めることです。また、その文民トップの総理大臣は憲法9条に縛られることになります。いち早く攻撃許可が欲しい場面で戦闘現場を知らない総理大臣に許可を得る必要があります。もし逃げ腰な総理大臣が「検討します」などと言った場合、自衛官は街が壊され市民が襲われるのを見ながら何もできないという状況になります(実際にこの場面も『シン・ゴジラ』にありましたね)。最悪の場合、自分に発泡してきた敵兵に反撃せず倒されるという状況にもなりうるのが現在の自衛隊です。
憲法9条を改正する、または第三項を加筆することでこの状況は改善できます。
沖縄の基地問題を解決できるほぼ唯一の手段
護憲派の意見を持つということは「沖縄の基地問題は仕方ないから、沖縄県民には我慢してもらおう」という意思表示をしていることと表裏一体です。
日米安保の代償として、日本は国内の70%の米軍基地関連施設を沖縄県に強いています。
これは非常に歪な状態ですが、現在のところ解決策は皆無です。他県に基地移設を行うにしても、どの県も猛反発されることは間違いありません。
解決するかしないかはさておき、唯一の解決策は正式な軍隊を持ち、米軍の保護下を離れ、米軍基地を無くすことです。現在の事実上の植民地化を脱するということになります。
護憲のメリット
反感を買うことなく戦争を避けられる
戦後日本が戦争に巻き込まれずに平和に暮らしてきた背景には、やはり憲法9条の存在があります。
他国は同盟国が戦争状態になった場合、介入する形で巻き込まれていきます。2度の世界大戦も同じ形態で参戦国が増えました。しかし日本は9条があることを建前に、金銭的な援助だけで軍隊の出動をのらりくらりと避けてきました。これはなかなか良いポジションだと言えます。
また9条があることから諸外国の反感を買うことも少ないことは事実です。日本のパスポート保持者がビザなしでいける国数が世界で最も多いことは、これを顕著に表した結果だと言えます。
また、我々への影響も少なくなっています。日本には徴兵制度もなく、戦後は軍事クーデターの兆候すらありません。国民国家の根幹が徴兵と納税にあるとされる中でこれほどまでに軍隊の影響を受けない状況を作り出せているのは、やはり9条の恩恵だと言えます。
政府に都合の良い憲法に変えられてしまう危険
憲法とは本来、立法府を取り締まる法律です。立法府の暴走を止めるために存在している憲法を国会が変えてしまって良いのか、という議論は常に存在します。
少しの憲法改正から始まり、徐々に憲法が変わっていってしまう危険というのは否定できないでしょう。


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