本連載の#2では、仕事を楽しくするための環境選び・ポジショニングの話をした。仕事の楽しさをコップに入った水の量に置換すると、#2での内容はコップの大きさを決めることに相当する。小さなコップに大量の水は貯められないため、やはり重要なフェーズである。
このアナロジーをトレースするならば、#3ではコップの中の水の量を増やすための方法を述べる。より良い環境・ポジションを探すことは重要だが、一度決定した後はそこで楽しみを増やしていく行動が必要だ。楽しく成長できる環境を選んだはずが日に日に楽しさが逓減していき、気付けば楽しさも成長も追うことを忘れ日々の業務に忙殺される。大きなコップを選んだつもりが、水が全く貯まらない。そんなレイバラー(労働者)が少なくないのが悲しいが事実だ。
どうすれば楽しくなるか。著者の結論は、自己投資を行うことである。環境は優れているが楽しくない状態というのは、概して自分の能力が不足している状態、または追い付いている感覚がない状態だと言語化できる。能力が不足していれば時間は足りなくなり、忙殺されることで楽しい部分まで行きつくことなく仕事が終わってしまう。こうなれば能力向上も遅くなるため、仕事が楽しくなくなってくる。
コップの水を増やしていくためには、この負のスパイラルから抜け出す必要がある。プルシット・ジョブから抜け出す最も確実な方法が自己投資だ。自己投資の時間を作ることで、それ以外の時間が増幅していくのだ。「仕事が忙しいから自己投資が出来ない」と主張する人もいるが、それは因果関係を誤っている。自己投資できていないから仕事が忙しくなるのだ。
”レバレッジする”という金融用語がある。借入金で投資や事業活動を行い、借入金より大きな収益を上げることを指す言葉だ。自己投資と時間の関係は、借入金と資金の関係に非常に似ている。よって今回のタイトルは『自己投資により時間はレバレッジする』と言い換えることで、より内容を正確に表現することができる。
学ぶことで時間をレバレッジする
自己投資として最も効果が早いのが、仕事に関係する知識・スキルをインプットすることだ。著者は専門書を読むのが好きだが、読書に苦手意識があるならUdemyなどの動画でも構わない。
「休日や終業後にまで勉強をしたくない」という意見を貰うこともある。それも1つの仕事観として尊重するが、残念ながら仕事が真に楽しくなることは今後ないだろう。この抵抗感は投資を嫌う感情に似ている。その場その場で時間を失うことを損だと思ってしまうのだ。しかし投資がなければレバレッジも起こらないのと同じように、自己投資が無ければ仕事も楽しくならないのだ。
学びとは狭義には書物で知識を得ることを指すが、広義には様々な体験を指す。仕事の関連知識のインプットは欠かせないが、時には体験の中から学びを得る必要もある。他者・他業界の友人と交流すること、旅行すること、美術館や博物館に行ってみること。これら全ては短期間で仕事を楽しくしてくれることはないかも知れないが、思わぬ時にインスピレーションの源になったりする。
アウトプットすることで時間をレバレッジする
学びを得たら、欠かさずそれをアウトプットしよう。著者はアウトプットありきでインプットする内容を決めている。インプットで満足しがちだが、それは余りににも勿体ない話だ。インプットはアウトプットあって初めて完成すると言える。人間の脳は非常に高性能であるため、利用されない(=アウトプットされない)知識は端から忘れるようにできている。故にインプットした知識は意識的にアウトプットする必要がある。
仕事ですぐに使える知識なら良いが、全てがそうであるとは限らない。意欲的にインプットしている人であるほど、インプットする知識の活用時期は先になる可能性は高くなる。この場合、日報やブログなどで学びをアウトプットすることがおすすめだ。学んだことを改めて言語化するメリットは2つある。
効果の1つ目は、知識の定着が進むことだ。これが本来狙っている効用である。時間を置いて知識に接することに加えて、知識を自分の言葉で言語化・体系化しなおすことに意味がある。再編する過程で定着し、”知っている知識”から”使える知識”になるのだ。この状態になって初めて、勉強時間が仕事時間をレバレッジするようになる。
効果は2つ目は、挑戦機会が広がっていくことだ。学びを日報・ブログで社内に共有することで、自分の知識や意欲を他者に伝えることができる。同じ実力であれば学習意欲の見えやすい社員に機会は集まり、応援もされやすくなる。社内のManagementから「昔のオレみたいだ」と思われればシメたもので、可愛がってくれるだろう。また社外でも機会は広がる。知識をブログで共有し続ければ、自分のことを面白いと思ってくれる人も出てくる。会う前からある程度スキルや人柄が分かるため、飲み会や転職の声も掛かりやすくなる。
この他に、資格試験を目指すことで意図的にアウトプットの場を作り出すという方法も効果的だ。とにかく、インプットする際はアウトプットの場を想定しておくことを薦める。
機会が増えるというメリットもある。面白いと思われれば他人から声をかけてもらえる。
健康状態を維持することで時間をレバレッジする
そして最後に、健康状態を維持することの重要性を述べておく。
予定が無ければ、著者は仕事終わりにジムに寄ってトレーニングをしている。「元気だね」と言ってくれる人もいるが、これもやはり因果関係が逆だ。普段から鍛えているから体力があるのだ。トレーニング以外でも、著者は様々な面で健康に気を遣っている。サプリメント摂取を含めた栄養管理をしており、睡眠時間も7時間確保するようにしている。栄養・運動・睡眠。これらを一定以上の水準で管理することで健康維持ができ、体力を高い水準で保つことができる。
忙しい環境では健康管理に時間を使えなくなるが、これでは負のスパイラルに陥ってしまい仕事が楽しくならない。忙しい環境でも健康管理に時間を使うことで、仕事時間はレバレッジしていく。体力の低下は短期間では感じられないため疎かにされがちだが、ボディブローのように中期的に効いてくる。
まとめ
#3では、勉強や健康維持など自己投資の時間を設けることで仕事時間をレバレッジできることを述べた。具体的な行動として自己投資は有効であるが、著者が今回最も強調したいのは”レバレッジ”の考え方である。
”先憂後楽”という考え方がある。著者はこれに反対で、楽しい道・楽な道を選ぶことを薦める。だが、目先が楽である道を選ぶことは辞めてほしい。あなたが将来的により楽しくなる”レバレッジする”道が他にないか、確認してほしい。



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